rui★ginkoの.................2003.09.01-13

★この日記は才能もないままいろいろな事に手を出している僕が時々書く記録です。
 執筆は演劇関係役者担当涙 銀子.戯曲演出担当るいぎんこ.そして音楽担当rui★ginko.広告業界担当ルイギンコ
     イベント業界担当吉田さんその他の分野担当ルイギンがお送りする何ら意味のない世界です。
     不定期更新か三日坊主。そこんとこヨロシク!

    ★カレンダーのタイトルのところをクリックすると、その日の日記に飛べます!
      飛べない人はごめんなさい。もうすぐ直します。

2003.09
Sun. Mon. Tue. Wed. Thu. Fri. Sat.
  01 記憶の中の月曜日 02 記憶の中の火曜日 03 記憶の中の水曜日 04 時のひずみをはるばる越えて 05 ドキドキの秋風ドライブ 06 秋の夜長にココロを奏で
07 「虚構」の彼方。「リアル」の行方。 08 09 10 十五夜のロンリーウルフ 11 残暑に満月〜
斉藤和義弾き語りLIVE
12 斉藤和義のオ〜ラに触れる 13

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2003.09.01

広告業界担当
ルイギンコ

Mon.

記憶の中の月曜日

おひさ〜!アタシよ〜もう、何だかすんごく久しぶりッって感じ!
どうして?先日までの日記を読み返すと、何だかイベント担当の吉田さん音楽担当のrui★ginkoばかり、
なによ?そんなに彼らは売れてるのかしら・・・ふん、いいわよオ〜!
今週はアタシも頑張ってるんだから・・・とは言っても、ほとんど記憶がないのよ〜!
一週間、何をして来たかの記憶が無いの!
それに今日って何曜日?えと・・・金曜?
そうそう・・・金曜日5日よね。オー・・・マイ・・・ガオオオオオ〜ッ!・・・驚いた?ふふ。
これじゃ日記じゃないわ。どうせ、始めた時から日記になってないからまあいいわ。

さて、それではまず月曜日・・・。
月曜日は市場に出かけたわ。糸と麻を買ってきたの。
そのあと、テュラテュラテュラテュラテュララ〜よ。何よ「テュラ」って!

?????・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・本当に記憶が無いわ・・・・。何してたッヶ月曜日・・・?
まあいいわ、作り話でもしようっと。

えっと、市場に行った帰りにイベント担当の吉田さんに会ったの。彼、疲れてたわ・・・。
ここだけの話だけれど・・・彼ってたぶん、自分の本性を隠してるのよね。
だからよ。たまってるのよ、ストレスが。
彼が家にいる時に見たんだけれど、満足に歩けない程だったのよ〜!歳だから。
お布団まで歩いて行けないのよ〜。
彼の新しいお家の(っていうかアタシも同じお家だけど)自分のお部屋は床が固いの。
彼は先日の大きなイベントがあった後、そのまま家に帰って来て疲れてるくせにrui★ginkoになって
まだ曲を書こうとしてたのよ。で、そのまま気を失って寝ちゃって。
次の日、かすかな記憶でリビングまで歩いて出た記憶はあるらしいの。
そのままリビングで行き倒れて、固い床でお昼前まで眠ってた。
・・・どうせ移動したならもうあと五歩歩いてお布団に寝なさいよ!

体がいつも痛い。床が固いなあ・・・と夢の中で感じるの。バカだわ、ふふん。

その夜、お家に帰ってきた奥さんのいちごさんから聞いて彼はひっくり返ったわ。
自分の部屋で寝ていてコーヒーをひっくり返していたらしいのね。
それを聞いて吉田さんも驚いてひっくり返ったの。全然、記憶がないから・・・。
朝、起こしに来たいちごさんがびっくりしたらしいわ。
その時、いちごさんもひっくり返ったから、彼女が一等賞ね。 よくわかんないけど。
とにかく、あたり一面のコーヒーの中に眠っていたんだって ・・・あ、これ本当の話よ。

そいで、ここからが作り話。・・・って断んなくてもイイか。

市場の帰りに会った吉田さんはストレスまみれの顔つきでアタシを睨むのよ〜。
何故って言うと、ほら、イベント担当H井さんって人いるでしょ?
今までずっと、吉田さんが御世話になっていたイベント会社の人。
実はネ、今度、その人とアタシがお仕事組む事になったの〜!きゃお〜!
で、それが吉田さんにとっては面白く無いらしいのよ。仕方ないじゃんね、そんな事。

先日、そのH井様から電話がかかってきたの。
アタシが出たのよ。そいで、吉田さんに変わろうかと思ったら、彼が言うのよ。
「いえ、今日はデザイナーのルイギンコさんにお電話差し上げたのです」
アタシ、もう驚いたの・・・なんのって・・・みなみのようこの事だって知ってた?みんな?スケバン刑事。
「実はルイさんにポスターを制作して戴きたくて」おお!このアタシにとうとう彼から電話が。
やるわよやるわよ!ポストでもパスタでも作るわよ!
「真面目に話しているのですが・・・」
私はマジよ!本気よ!作ればいいんでしょ、ペストを!何だって作るわよ、アタシの好みのタイプなんだから。
「は?」
は?じゃないの!H井さんはアタシの好みのタイプなの!
彼女がいてもいなくても、どちらでもいいの!アタシは我慢するから!
「・・・仕事できる状態じゃなさそうですね、では・・・」
ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!大丈夫よ!
アタシはデフォルトがこういう人なの。今日なんて調子のいいほうよ!
「はい・・・ではよろしくお願いします」

ってわけで、アタシ、彼からお仕事たのまれちった。
そいでさっそく彼と打ち合わせに・・・その仕事が昨夜から徹夜して制作していたポスターよ。
今日は納品して来ました!

おおっ!もう、この日記、あっと言う間に五日分書いちゃったわ!・・・だめ?

・・・でも、悲しいお知らせがあります。・・・ナオシが出たの。
最終納期がすぐそこなのに・・・やるしかない!やります!

でも、今夜はこれからちょびっとだけrui★ginkoが・・・。

あれ?いつの間にか今日の日記になってる!ひとまず・・・月曜日は市場に出かけた。以上!

2003.09.02

広告業界担当
ルイギンコ&
■音楽担当 
rui★ginko

Tue.

記憶の中の火曜日

また、登場よ〜!
さっき日記を書いてしばらくruiが明日の準備をした後、また来たわ!
rui★ginkoはちょっぴり真面 目にお歌の練習をしてきたみたい。下手なのに。

さて、火曜日の日記を書こうっと!
火曜日はお風呂を炊いたの・・・。

お風呂と言えば温泉よね。今年の夏はとうとう行けなかったわ。
名古屋から名鉄電車で一時間程揺られてゆくと、内海と言う海水浴場に着くのだけれど
そこに温泉があるのよ。 毎年アタシはそこに行くのが愉しみなの。
海で泳いだ人たちが体を洗うために入る温泉なのだけれど、これがなかなか良いのよ。
初めて行った時は、本当に小さな普通の銭湯だったの。 それでも嬉しかったわ、
そこを見つけた時は。
だって、温泉よ。海水浴に来たのに温泉なんて。 体がふやけちゃうわ。

アタシはそこがお気にいりだったから、内海に行く度にそこには必ず入るようにしてたの。
そしたらある夏に行った時、立派な建物になっていたの。驚いたわよ。
それまで古ぼけた銭湯だったのよ。お湯に入る時も薄暗くて、お湯がまた塩っぱいの。
それが良かったの。

でも、新しくなったそこはビルになっていたの。 はじめ戸惑ったアタシだったけれど、
入ってみてすごく気に入ったわ。
大きな窓から海が見渡せるの。それも夕陽に染まる海原。
切ない気分になると同時に極楽極楽って感じ・・・解ってもらえるかしら?

今年の夏は海に行く事ができなかったから残念だわ。

でも、このお話って今週の火曜日の出来事じゃないわよね。
えっと・・・・・火曜日・・・火曜日・・・・・・・全然、思い出せない・・・。

・・・・いやあ!何、すんのよっ!あなたはお歌の練習終わったんでしょ?
だったら、もう寝なさいよ!
何よ?・・・書きたい事がある?・・・駄目!
最近出番が少なかったから、アタシが書くのだから!
・・・ちょっ、ちょっと!やめなさ・・痛いっ!

こんばんは、rui★ginkoだよ。
明日はLIVEがあるからさっきまで練習だった。
おそくなってごめんね。
それと、最近更新が遅れてごめんね。

今週の火曜日の出来事を思い出したよ。
あれは、火曜日の夜の七時頃。デザイナーのルイギンコが仕事をしていると携帯がなった。
相手は「照和伝説」という表示。きっと、あの人からだ。池田さん。
でも、滅多に平日は連絡なんてないのに。いったい何の話だろう、と僕は電話に出た。

内容はあるお客さんからのメールについてだった。
「照和伝説」は平日の昼間はカラオケ喫茶として営業されていて、たくさんの歌好きな
お客様が来て下さっている。純粋に歌が好きな人たちが集い、年令や音楽のジャンルを
越えて 楽しい時間を過ごす。
若いヤツらとおじいちゃんおばあちゃんたちが、お互いに拍手をしあって交代で歌ったり
するお店なのだ。

毎週週末の夜に「照和伝説」がライブ演奏をしている事を知ったカラオケ喫茶のお客様は、
もともとが音楽好きな方が多いから、土日の夜にライブの演奏を聞きに来てくださるよう
になった。
僕達の作った自前の拙い歌を、わざわざ聴きに来て下さるのだ。すごく大切なお客様だ。

メールを下さったお客様は、先週の日曜日にあったライブに来て下さっていた。

ライブは盛り上がって終わり、素敵な夜の眠りに就こうとお客様たちがお店を出ようと
された時、そのお客様の耳に誰かの言葉が届いた。
「途中で演歌が始まった時、どうしようかと思ったよ」・・・若者の声だった。

・・・・・そのお客様の心は、耳に滑り込んで来たその言葉で悲しみにおおわれた。

その方は、これからもカラオケ喫茶として、そして週末には変わらずライブを聴きに来て
くださると仰る。
受話器から聞こえるそのメールの文面を聞き、僕もその方とまったく同じく、
とても哀しい気持ちになった。 そして同時に、そのお客様に感謝の気持ちで一杯になった。
懐が深いんだ。その方達は・・・。

ジャンルで音楽を分別するヤツらより、
ずっと音楽とともに暮らし、音楽を愛している人たちなんだ。
僕は、頭が下がる思いだった。

僕は演歌が大好きだ。 信じてもらえないかも知れないが、実を言うと僕が初めて歌を人前
で歌いたいと思った時、 演歌歌手になりたかった。これは、正真正銘本当の事だ。
今でも覚えているが、中学一年の国語の時間になぜか将来、何になりたいか聞かれた時が
あった。 もう中学生だから結構、現実的な職業を言うクラスメイトの中で僕は、自分の
順番が来た時に「演歌歌手です」と答えた。「歌手」じゃなくて「演歌歌手」だったのだ。

その頃、本気で演歌歌手としてデビューしたくて一生懸命歌の練習をしていた。
コブシをころんころん回しながら。

その切っ掛けは「内山田洋とクールファイブ」というグループにいた前川清さんの大ファン
だったからだ。
彼は歌う時、すごくシリアスに恋唄を歌う。
しかし、ある時トークをしている彼を見てその面白さに驚いたのだ。
そして、両面の魅力を持つ彼の虜になった。

彼の歌う唄はすべて練習し、レコードは何度も聞き、彼が歌う懐かしのメロディーまで
マスターした。
それらの唄は、自分で歌えば歌う程、切なく深く、若干十四、五のガキの心にも沁みて来た。
唄ってすごい、と思った。

その後、吉田拓朗を体験し、ギターを持って歌うようになったけれど、
今でも、演歌は大好きだ。

音楽はHIPHOPでもクラシックでも演歌でもポップスでもジャンルは関係ない。
良いものは良いし、ピンとこないモノはどんなジャンルにでも同じようにあるのだ。

僕は今年、再び歌いはじめるまで随分の年月を音楽から遠ざかっていた。
昔、歌っていた頃はもしかしたら今より心は狭かったかも知れない。
でも、この長い年月の間、音楽から離れて今、再び 歌の近くで暮らすようになった僕にと
って、この長い長い時間は僕を音楽のより近くにまで連れてきてくれるための、道のりだ
ったのかもしれないと思う。

池田さんから聞いた話はもっともっといろいろ合って
今の僕にも密接に関係する内容の事がたくさんあった。
すべてが、僕と同じようにライブハウスで歌っている仲間たちの間で
火曜日のその日に起こったドラマの話だった。
僕はそれらの話が聞けた事に感謝した。
僕らはいつもギリギリやってる。いや、僕だけかも知れないが・・・・。
すべては明日の自分に起こるかも知れないドラマだ。
でもみんな「歌」が好きで「音楽」が好き。

池田さんが電話の最後に言ってくれた言葉が僕の涙腺を刺激した。
「俺さ、この話をルイギン、お前に是非とも聞いておいて欲しくてな・・・・」

ギリギリだけど、そちらに走る!

2003.09.03

広告業界担当
ルイギンコ

Wed.

記憶の中の水曜日

ヤッホッホ〜!水曜日の日記よッ!
・・・・・・・・水曜日は・・・ ・・・水曜は・・・
・・・えと・・・・あのね・・・ 水曜日は火曜日に炊いたお風呂に入りました、と・・・
・・・・・・予想がついてると思うけれど・・・冷めてるわよっ!

まあ、ひとまずお約束という事でネ。

・・・・・・・・・水曜日・・・この日こそ本当に・・・まったく思い出せないわよ〜。
・・・・そういう時は・・・いつもの方法で・・・い、いえ、何でもないわ・・・。
あ、そうそう思い出した思い出したわ〜・・・
水曜日は、あの、ほら・・・えーと・・・タイムマシンを発明したのだったわ。
時間旅行のロマンを求めて幾星霜。
この研究に膨大な時間を費やしたアタシ。
とうとう・・・子供の頃からの夢が叶ったの。

一番行ってみたかった時代は平安時代。 目的はただ一つ、彼に会うためよ。
・・・え?・・・彼って言えば解るでしょ?
そう!当代一の美男子、光源氏に決まってるでしょ、むふふ。
彼に会ってアタシのダチになってもらうのよ〜、できれば現代に連れて帰ってくるの。うぶぶ。

人類史上、初めてのタイムトラベル。
アタシは興奮に震える気持ちを押さえながら早速、便器の蓋を開けて、時代を平安時代に
セットしたわ。それからすかさず・・・・え?・・・何?・・・何よォもう。アタシが
この人類史上歴史に残る出来事を克明にリポートしているのに・・・・・・
・・・何か気になる事があるの?・・・いいの?・・・じゃ続けるわね?
何たって歴史的瞬間のお話なのだから、なかなか聞けないお話よ。

平安時代にタイマーをセットして、すかさず水を流す!
逆流しはじめた時間の流れからはぐれないように、しっかりつかんでいなきゃいけないのが
大変だけど、なんとか破れる事もなくペーパーのロールはカラカラと順調にほどけてくれ
たわ。かなり緊迫した瞬間だったけれど・・・。

ふと、気がつくとあたりは一面のススキの原っぱだったわ。
着いたのかしら?・・・あこがれのあの時代に。
アタシはあたりを半信半疑のまま見渡したの。すると、遠くに灯りが見える。
そちらの方角に向けて歩き出したの。
空には大きな満月。コンビニも何も無いから、お腹がすいても食べ物が買えないのが辛か
ったけれど、何とかその灯りのついた建物まで辿り着いたアタシ。
結構、不便な時代だったのね。

そこは大きなお屋敷だったわ。どんな人が住んでいるのかしら?
垣根越しにそのお屋敷の中を覗いてみたの。いやアね・・・変な気持ちじゃ無いわよ〜。 も
しかしたらファーストフードのお店じゃないかと思って。
だって、その時のアタシったらお腹もうペコペコだったのだもの。

覗いたところはお屋敷の大きな庭だった。 そしてそこに、彼女がいたの。
・・・・・・蒼白い月の光に照らされて。

彼女はじっと月を見上げ、お屋敷の縁側にたたずんでいたわ。
私は、しばらくその美しさに見とれてしまったの。
何て夢のような景色かしら。
アタシは時の流れを越えて、とうとう過去の人とはじめて対面したのよ。
しかも彼女はかなりの美形。
とても静かに時は流れ、
うつろいゆく歴史のはかなさを感じていたアタシ・・・お腹が鳴ったわ。デリカシーの
ない音で。虫の音も思わず止まり、鈴虫が身構える気配がした。
やっぱりお弁当を持ってくるべきだったと、後悔しても遅かったの。
彼女も驚いてアタシの方を見た。目が会っちゃいましたア。

彼女はアタシの姿に別段恐れるという風でもなく、じっとこちらを見つめているの。
仕方なくアタシは御挨拶したわ。
「おばんです、とは言っても貴女が、おばんです、と言ってるわけじゃないのよ〜」
彼女は不思議そうな表情でなおも見つめ返すものだから、どぎまぎしちゃったわ。

「何をしてるの?」話の糸口を見つけようと問いかけたアタシ。
彼女はややあってか細い声で答えてくれました。
「恋物語を・・・」
「えっ?」
「お話を考えていたのです。人を恋する気持ちを主題にしたお話を作りたくて・・・
  今宵は月があんなに美しい。
  こんな夜には不思議な力が手助けしてくれるかも知れません。」

なあに?この人?でも、何だか魅力的な人。
お屋敷にお入りになってと言われるがままに、くぐり戸からお庭にお邪魔したアタシ。
「あの・・・アタシはルイギンコ。デザイナーよ。あなたのお名前は?」
「紫・・・紫式部と申します」
「アタシは花柄の敷布よ。ピンクの。洗濯をした時はアンパンマンの柄の時もあるわ。
  そんな事より、貴女の名前が聞きたいの」
「ですから紫式部という名前を名乗っております」
「ふがっ!・・・あ、あなたが・・・もしかして、あの「源氏物語」の作者?」
「どうしてその物語の題を御存知なのですの?
  まだこの胸の内に秘め、どなたにもお話していないはず」
「い、いやあ・・・あの、説明すると長くなるからあ」
「何だか貴方・・・不思議なお方。ここにどのような御用事でお越しになられたのですか?」
「えと・・・ほら、何て言えば良いのかなア。旅をして来たの。
  素敵な殿方に逢いに・・・かしら」
「まあ!それは素敵!人が人を想う気持ちというものは何よりも強いものだと思います。
  どのようなお方ですの?貴方様がお探しのその殿方とは?」
「それは貴女の方がよく御存知のはず・・・」
「は?」
「い、いえ・・・あの、アタシはお逢いした事はないの。随分昔にお話で読んだだけで・・・」
「お話で・・・?素敵な方ですね、貴方様は。
  お話の中で出会った方を求め探して旅をしておられるなんて・・・お話って不思議な
  力があるものなのね。・・・ありがとう。」
「な、なにもお礼を言われる程の事は・・・」
「いえ、嬉しかったのです。私はお話を作ることを志している者でございます。
  でも、実は・・・・・・近頃、なかなか上手くいかなくて。
  物語の作り手としての自分の人生を諦めようかと悩んでおりました。
  貴方は、そんな私をお救いくださいました、たった今。
  私、もう一度、頑張ってみようと思います。ありがとうございました。」
「な、何だかよく解んないけど・・・良かったわね。ふふ。」
「はい・・・貴方様は何とはなしに、私が今、取りかかっているお話の主人公の像に
  似ているところがございます。これも御縁かしら・・・」
「あ、あはは・・・ところで、この近くにマックか
ミスド無いかしら?お腹すいちゃって」
「あ、これはこれは。もしも宜しければ私の家で・・・」
「ダメよそんな、ずうずうしい。いいの、仕方ないから帰って近くのお店で食べるわ。
  そろそろ行くわネ」
「あ、あの・・・もう行ってしまわれるのですか。」
「アタシ、一日一回はバーガー食べないと生きていけないの。ごめんね」

彼女の瞳が寂しげな色に陰ったのを感じたわ
「・・・・・・解りました。せめてどちらにお住まいの方なのか。
  それだけでもお聞かせ願えませんか?」
「ええと・・・アタシは、その東山動物園の近くに・・・と言っても解んないわね。
  ・・・何て言えば良いのかしら・・・アタシは・・・ あの・・・未来のね・・・解る?」
「未来?」
「そう、時間を越えて来た人間だから。」
「時を越えて・・・できませんわ、そんな事」
「できるのよ。アタシ天才だから。光のスピードを越える事でそれが可能になるの。」
「光よりも早く・・・?」
「そう、貴女も生まれ変わった時に体験できるわ、きっと。
  アタシはぴいたんから天才に生まれ変わったぐらいだから、貴女も大丈夫よ。」

「・・・もう、お別れなのですね。」
「そうね、名残り惜しいけれどお腹ぺこぺこだし・・・もう行くわ。」
「・・・解りました。貴方の事はいつまでも忘れません。私に物語る事の素晴らしさを
  思い出させて下さって、お礼を申し上げます。ありがとうございました」
「・・・元気でね」
「あの・・・・。」
「なあに?」
「・・・・・・また、お逢いできますか?」
「それは・・・無理かも・・・あ、でも、別に貴女が嫌いだとかそんなんじゃないのよ。」
「光の彼方へ帰って行かれるからですね」
「・・・そうね」
「・・・・・・ありがとう。私、物語を書きます。人が人を思う気持ちに彩 られた長い長い
 物語を。とても語り尽くせるものではないかも知れないけれど・・・心を込めて書きます。
  主人公の名前は「光」の君。書きあがったならば、いつか読んで戴けますでしょうか?」
「それは・・・大丈夫。請け合うわ。」
「あなたへの恋文のつもりで綴ります。ありがとうございました。お元気で」
「貴女もね」

時空が歪んでアタシは東山の自宅に戻って来たの。
マックに行ってバーガーを食べながら考えたけど、
こんな日記、誰も信じてくれないかも知れないと思っちゃった。真実なのに。

何だかリアリティがないのよね。
この出来事が真実だっていう何かリアルな証拠がないものかしら・・・?

そこでいいこと思い付いたの。
アタシがタイムマシーンを発明した9月3日のその時間に、
今からタイムマシーンで行ってビデオに発明のその瞬間を納めてくれば、
みんな信じてくれるわよね? ふふふ

・・・早速行ってみる事にするわ!いざ!9月3日のその瞬間へ!

・・・なに?アタシったら・・・ただ、仕事場で眠ってるだけじゃない?
え?ど、どういう事?これ・・・アタシ・・・発明したんじゃないの?・・・
夢じゃ無いわよね・・・だって、今、載って来たはずのこのタイムマシーンは・・・
・・・もしもゆめだとしたら・・・ タイムパラドックス!・・・き、消えちゃうかも・・・

・・ ・・・・・・もしも、更新が遅れてたら・・・消えたと・・・思・・・っ・・・・・・

2003.09.04

広告業界担当
ルイギンコ

Thu.

時のひずみをはるばる越えて

はっ!・・・・ここは・・・どこかしら?
アタシ・・・助かったの?・・・・・・

前回、タイムパラドックスのために、タイムマシンともども時空のひずみの彼方に
その姿を永久に消滅させられたと思ったアタシ・・・生きているわ・・・。

前回・・・とは言ってはみたものの、昨日の事だし。
別に続きモノの物語じゃないけれど、
もしかしたら、このページを読んで下さっている何人かの方が、
手に汗握ったまま
眠れぬ 夜を過ごしたかも知れないわ。
デザイン担当ルイギンコ
は、あのまま消えてしまうんじゃないかと心配で。
そして、 別の意味で、今、アタシにお仕事を依頼して下さっているクライアントさんたちも心配したかも。
あいつ、このままフケてしまうんじゃないか、と。・・・実は、それは考えたけれど。

そして、その他にも
・このまま更新ができない理由を、自分が消滅したせいにするのでは
  ないでしょうか(N市在住。主婦。35歳)

・昨日、書いた内容をすっかり忘れて
  全然関係ない事を書くんじゃないかねえ(K市在住。鉄鋼業。53歳)

・ふたたび紫式部に逢いに行き、結婚するのではないかしら(G市在住。漫画家。21歳)

・もう帰って来なくてもいいから、
  家のトイレだけは直していって欲しいです(N市東山近辺在住。コンピュータ会社役員。?歳)

・借金だけは返していって欲しかった(友人数名)

・現在は総裁選の事しか頭にありません(T都在住。詳細不明)

・せっかくなかよくなれたのに・・・(東山動物園在住。ゴリラ勤務。?歳)

・ぼくも なにか いいた いけど あそびに いくからまたね(N市在住。3歳)

・もうこれくらいで良いんじゃないかしら?(本人)

などの、様々な意見が、アタシの家のファクスやメールに寄せられたわ。

 

でも、アタシは消えてはいなかった。どういう事?
じゃあ、タイムマシンをアタシは発明したと言う事?

ここは・・・どこなの?
暗いわ・・・・そっか、目を閉じていたのね?そっと開けてみましょう・・・恐いけれど・・・。


あれっ!・・・ここは仕事場じゃ無い!Macが立ち上がったままだわ・・・。
どう言う事?全てが夢だったって事?
タイムマシンを発明したと思って、それを確かめに行ったらそれが夢で
その時に乗っていったタイムマシンが存在するという歴史に矛盾が生じて、
アタシが消えてしまうと思ったあの出来事までも・・・・夢だったって事?

ややこしいわ・・・
いったいどこから夢だったの?
アタシが仕事場で眠った一週間前?・・・それとも、もっと前?
いえいえ、まさか今のこの状況がすべて夢で・・・本当は、まだ二十世紀って事はないでしょうね?
まさか、そんな・・・でも、もしかしてアタシ今でも夢の中?
明日、目覚めてアタシ中学生だったら怒るわよっ!
いえ・・・もしかしたらアタシ、秦の始皇帝だったらどうしよう・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぴいたんのままだったら・・・・。

痛いっ!・・・やはり夢じゃないみたい。良かった。
じゃあ、今この瞬間
は現実なのね。あ、締切が・・・まあ、気にしない。
生きてただけでもメっけモンだわ。

良かった。・・・それにしても変な夢を見たものだわ。
夢を日記に書いたなんてバレたら、みんなに叱られちゃうわ。黙ってようっと!

緊張がほぐれたらトイレに行きたくなったわ。
・・・・・・・ほっ・・・別段トイレも不審
な点はないわ・・・バカみたい。
・・・こんな水を流すぐらいでタイムトラベルができたら
ドラえもんなんていらないわよ、ふふん・・・じゃ〜っと・・・・・・・あレエエエェェェェ〜っ!

・・・・・・ここは?いったい?遠くに見えるのはあれは黒船?
アタシどうしちゃったの!はっ!こんなところにトイレットペーパーのはじっこが・・・えいっ!

・・・・・あレエエエェェェェ〜っ!

・・・・・・戻って来ちゃった・・・・・・アタシ、やっぱり・・・・・・天才だったの?
これから・・・どの時代へでも自由に行って帰って来る事ができるのね。ふふふ・・・・・・じゃ、次は・・・・・・。

2003.09.05

広告業界担当
ルイギンコ

Fri.

ドキドキの秋風ドライブ

やあったあ!アタシ今日はドキドキなのね〜!
何故って仕事の納品日だから・・・って違うわよっ!
まあ、確かに納品日には違いないんだけど。問題はそのお仕事の相手よ〜。

憧れの510担当H井様とのお食事付き納品だったの。うふっ!
アタシはもう昨夜から眠れなかったわ。心がときめいて?・・・いえ、仕事が遅れてて・・・。
でもね、締切は守るあたしだから(その割には更新守られて無い?ごめんなさい)
朝にはすっかり楽勝ムードよお〜。白々と明けて来る東の空を見上げて満足感にひたっていたわ。
そうしたら、作品をプリントアウトするのを忘れてて、慌てたわ。
でも、全然平気。すぐ対応したから、今度こそ納品前に余裕を持ってコーヒーでも・・・
・・・そこで気が着いたのだけれど、月末の伝票関係の書類を用意するの、わ、忘れてたわ〜。

ちょっぴり焦ってきたけれど、まだ大丈夫!気分は爽快。
とっとと伝票作ってプリントアウト終了。
あとは何を着て行こうかしら?・・・印象悪くしちゃいけないから。
ルンル・・・・・・・忘れてたわ〜!先日の「マル一昼夜電視台」の報告書を提出
しなきゃいけなかったのだわ〜!あたふたあたふた・・・あらあ!もうこんな時間!?
も、もう出なきゃ・・・服装は・・・えいっ!裸じゃなきゃ何でもいいわ!

一応、優雅に落着いた雰囲気を装ってH井様に御会いしたの。ゼエゼエ・・・。

さて、お仕事の納品&打ち合わせは午後一時から。現在、十二時。一時間のお食事タイムよ。
心はメニューをあれこれ想像しつつアタシの体は彼の車の助手席に。
お昼、何にしようかなあ?
秋風の中を車は爽快に走り。車窓に次々と流れてゆく食べ物屋の看板。
とてもロマンティックなドライブ・・・最高。
そうね、カツ丼?・・・もたれるわア〜。
じゃあ、天丼・・・ますます油ぎっしゅだわ〜。
どんぶりモノじゃなくて他のお店。
・・・あ、これこれ、お寿司・・・・・・回っていないと手が出ないわあ〜。
うなぎ・・・ジンマシンが出るのよ〜。

そう言えばH井さんはオーストラリアに暮らしておられた方だったわね。
かつて、コアラが学友でウォンバットの彼女とつき合っていたと聞いたわ。
それに、これは確かな情報よ。アタシ本人から聞いたもの。
「オーストラリアでは駅員はみんなカンガルーですよ」って。
こんな事実、本当に現地に住んでた人じゃないとわからない情報だわよ!

えっと・・・オーストラリアの人のお口にあうのは・・・バーガー?
あった!マック!関西弁ではマクド!たくさん買うとドナルドのお人形がね・・・
・・・ ちょっと聞いてる?H井さん。
じゃあ、ドーナツは?・・・駄目かしら?
あ〜あ通り過ぎちゃった。
じゃあ、わかった!ファミレスにしましょ!何でもあるし、テーブル広いし。
コーヒー一杯で五時間ねばった事もあるし・・・。あら・・・通り過ぎちゃった。

え?なあに?あ、あなたもこのお近くで美味しいお店、探してくださっているの?
ごめんなさいね。横でグジャグジャ言って、おほほ・・・。

あら、本当?この近くに同じイベント会社の人が住んでいるの?
えっ?その人って先日「マル一昼夜電視台」のステージDをして下さったNさん?まあ!
あの時は
吉田が御世話になりましてありがとうございました。
彼ならこの近くだから美味しいお店に詳しいって?電話をかけてくださるの?
でも、今日平日よ。彼、忙しいんじゃ無いかしら。

彼の電話がつながったらしい。
「え?そう・・・この近くで美味しいお店ない?・・・え?今、一緒。」
あ、アタシの事?
「いや、今日は
イベント担当の吉田さんじゃなくてデザイナーのルイさん。・・・そう、だから
ルイさんに対して失礼のないように・・・お口に合うような美味しい店を・・・」
そうそうアタシ美食家だから・・・吉牛が一番。二番目は不二屋のケーキが大好物よ!ペコちゃん!

H井さんは諦めたように電話を切って、翳りをふくんだ顔つきで
「無いです」と、
ため息まじりに言うの。
アタシ、もう、彼の優しさにゾッコンよ〜!

アタシ、メニューなんてどうでもいいの!
大切なことを忘れていたわ。
・・・ お食事とは・・・・腹が膨れりゃいいのよ・・・。

そして・・・貴方がいれば。

近くの喫茶店で日替わりランチを食べながら、アタシは幸せな今日のドライブの事を思い出していた。

確かにあの時、アタシの心は・・・秋風色のときめきだったわ!よく解んないけど。

2003.09.06

■音楽担当 
rui★ginko

Sat.

秋の夜長にこころを奏で

一週間ぶりの「照和伝説NAGOYA」のLIVEがやってきた。
デザイナーの
ルイギンコのヤツは何だかヒイヒイ言ってたけど、僕にとってもこの一週間は
とても早く過ぎた気がするなあ。
いつもLIVEの時には楽しい気分と反省の気分とがないまぜになって帰って来る。
でも、決して暗い気分じゃない。
むしろ、LIVE終了後も楽しい気分は続き、浮かれて帰ろうとした時に自分の声が聞こえるんだ。
「おい、今日は本当に良かったかい?」

楽しい気分はその日、聴きに来てくれたお客様や共演者からもらい
反省する気持ちは、その日の自分のステージの結果から与えられる。
当然ながら、すべてが思惑通りに行くステージなんて無いし、また、予定された通 りに
できたとしても、それがLIVEとしてはたして良かったのかどうかは疑問。
僕はいつも自分の心の中で「もっと勉強して来ます」って気持ちを心の片隅に残す事ばかりだ。

歌い始めて半年。僕は最近、自分にとって、毎週御世話になっている「照和伝説NAGOYA」の
大きさを感じ続けているところ。
毎週、歌うという事は様々な気持ちを生む。
過去にこういうペースで歌わせてもらった事は無い僕だからね。

昔、歌っていた頃の僕は月に一、二回ライブハウスに通 うペースだったけれど
それでも自分が毎回同じ歌を歌い、新曲が半年もできない時には焦ったりした。
聴きに来てくださるお客様に飽きられるんじゃないかと気になり
「また、この歌か」と思われるのが恐かった。

「照和伝説」の池田さんは言う。
「毎回毎回、俺達が歌っている歌でも、お客さんにしてみたら新曲と同じだよ」と。
僕が「今日も同じ曲しか歌えませんけれど・・・」と言った時の返事だった。

そう、僕の歌はメディアに乗って日常で流れている訳じゃ無い。
街角を歩いていて、それとなく人の耳に残り、ふと口ずさんでもらえるような歌じゃない。
誰も知らない、その日LIVE会場に訪れてきてくれた人だけが
偶然耳にする「肩書きの無い歌」なんだ。

僕は池田さんからこの言葉を聞いた時、始めて自分の歌が愛おしくなった。

 

もうひとつ知ったのは、今さらだけど「歌は生きている」という事だった。
「毎回新曲」という言葉にはもうひとつ意味があると感じる事がある。
おなじ曲を毎週歌っていると、自分に馴染んで来たり、自分から離れて行ったり
日によって距離感が違う事を体験する時があり、驚いてしまう。

もともと、歌が下手な僕はどの曲も自分で作ったくせに上手く歌えない。
家で練習していても「もう、アカン」と思う事がよくある。

そういう僕の心の内を知っているのだろう池田さんは、最近よく僕に言う。
「ルイギン、上手く歌おうと思うなよ。歌なんて音が外れたって構わないんだ。
自分の思いで生まれた歌なら、その自分の思いで歌えばいい」と。
僕はその言葉を思い出して、家で歌ってみる事がある。
そんな時、変な力が抜けて「歌」との距離が縮まり、気持ちよく自分の中から外へと
流れ出てくる事があった。 気負いもこだわりも無く自然に。

「歌」がそこに自然に遊んでくれている。

 

僕はきっと、毎週ステージに立てるこの状況がなければ気づかなかっただろうなあ。
「照和伝説」がなければ気が着かず、池田さんと出会えなければ知らなかった歌との距離感だ。
昔、僕がステージを降りた理由は何だったのだろう?
芝居が魅力的だった事は確かだけれど、何か歌とのおつきあいが上手く行かない気がしていたのではなかったろうか?

この一週間、あっと言う間に時間が過ぎた。

この火曜日に僕は、今度のステージでは「演歌」を歌おうと決めた。
その気持ちの中身は先日の火曜日の日記にも書いた。
僕は「歌」にジャンルは関係ないと思う。「歌」は「歌」だ。それ以外の特別 な何かじゃ無い。
「歌うこと」はたいした事じゃ無い。人前であってもカラオケであっても鼻歌であっても同じように楽しい。
技術やお金や名誉がからんでいない音楽は、平等に優しく楽しい。

こころの中から生まれ、誰かのこころにしみ込んでゆく事を遊んでいる。

そういう気持ちを忘れないようにしながら一週間過ごしてきた。

今夜はいつもの「チャッピー大嶋」(何でチャッピーなの?)がいなくて
僕は平常心で楽屋入りした。
池田さんも、はじめちょっぴりおとなしかった。いつものように僕のギターを奪ったりしないのだ。
・・・・・物足りなかった。
もしかしてイタズラ仲間の相棒「大嶋芳」がいないせいか、と思ったがどうやらそうではないらしい。
彼は僕達ライブハウスで歌う人間と、そこに来て下さるお客様の心について考えていたのだと思う。

音楽という不思議なモノについて思いを馳せていたのだと思う。
この一週間、彼は心の中で様々な旅をしてきたのではないか。
僕が会った瞬間はたまたま、ほんの少しひとやすみしていた時だと思う。
その予測はあたった。
音合わせが終わりいよいよ本番が近づく頃になるといつものパワーが彼に宿ってきた。
明るく口の悪い池田利明ができあがった。
僕は当然、身の危険を感じて目をあわせないようにしていた。

今日のトップは「癒しの歌姫」倉谷梨里さん。
彼女の持つ生命の存在を見つめる不思議な感性で、少しずつ少しずつ僕達を愛の世界に誘う。
彼女から生まれる言葉やメロディは、彼女の心を通して
その彼方にある宇宙の神秘を一つずつ解きあかしてゆくようだ。
今夜は前回御会いした時より少しはお話ができたので嬉しい。
僕は「月」のイメージが好きな人間なので、彼女の世界が大好きなんだ。

今夜は僕のカミさんのいちごさんと息子が来てくれた。
僕が倉谷さんのステージを聴こうと楽屋から客席に回ろうとしたらお店の前にタクシーが止まった。
「おっ、お客さんだ。では扉を開けてエスコートを・・・」と思ってお店の前で待っていたら
なんと自分の家族だった。
東山の方のお祭り会場から来たと言って、息子はそこで買ってきたおみやげを僕にくれた。
「光る腕輪」だ。ふたつあって、もうひとつは池田さんに、という事だった。
ステージで池田さんは左腕に、その腕輪をまいて登場してくれた。

僕のステージの時間が来たので楽屋に回ろうとしたらカミさんが手招きをする。
何?と聞いたら「早めにステージ終わってね。池田さんの歌をたくさん聴きたいから」ってどういう事じゃ!

自分で思っているのと、現実が食い違うという体験は今までに沢山した。
今夜も、家に帰って自分のビデオを見たら、思っていたのと現実のステージが
あまりにもかけ離れていてひっくり返った。
この反省点は次回に向けて改善努力。

さて、いよいよ池田さんのステージ。
今夜のステージも中身が濃く、いつにも増してお得だった。
池田氏の歴史を綴るように構成されていたからだ。
山口から東京、
そして九州福岡へ。「照和」で様々なミュージシャンと出会い音楽と暮らす。
その中で生まれて来た歌たちが次々と披露された。
彼の人生を変えた「照和」でのオーディション通過の名曲「しゅわっち!」では
その歌に登場するウルトラマンに敬意を表して、何とウルトラマンを小瓶の中に生け捕りにして来た。
小さなガラスビンの中でウルトラマンは三分以上経過してしまい
しかも、空気穴を開けていなかったため元気がなく可哀想に思えるのだが
池田氏は堂々とその小瓶を脇に置き、熱いステージを展開した。
終盤は彼の名曲が続く。僕はこみあげてくる感情をどうしようもなかった。

毎回、ステージを聴かせてもらい
まさに、毎回、始めて聴くかのようにいつも新鮮に心に突き刺さってくる歌。

倉谷さんの歌。池田さんの歌。こころから解き放たれた歌たちは
僕達が子供の頃、何かを初めて体験する時の驚きや感動に満ちている。
僕はここに存在していて良かった。

2003.09.07

■戯曲演出担当
るいぎんこ
Sun.

「虚構」の彼方。「リアル」の行方。

記憶の彼方に微かに明滅する灯り。
その灯りを手繰り寄せるようにして私は生きてきた。
それらは私の今の場所を知らしめ、未来への方角を照らす洋燈となろう。
演劇の脚本を書く時、それらは私に内在する世界への道標ともなる。
そうして昔、私の中から数本の戯曲が生まれた。

ウィステリア君との約束の日が訪れた。
書けていない。洒落にならない。
約束をしていた事実。 その事実を忘れていた訳では無い。
逆だ。常に脳裏に横たわっている慢性化した衝動。それはもはや衝動と呼べるものではなく、
ただ静かに横たわっている抜け殻なのか・・・。その答を出す為に脚本(ホン)を書く。

時の女神は微笑んでくれるだろうか?

 

芝居という表現形式は同じでもメディアによって「演技」の感覚は異なる。
私はいつもテレビドラマや映画を見る時「本当は騙されているんじゃないか」と
潜在的に感じながら鑑賞する事が多い。 演技だと思っていた事が、もしかしたら
「ドキュメント」なのかも知れない、と感じる気持ちが脳裏にある。
普通は逆で、どちらかというとテレビや映画のほうに「嘘」を感じる人が多いのかも知れないが
「虚像」であっても「虚構」であるかどうかは、観客には知らせないでおこうと思えば可能なメ
ディアだという気持ちが拭い切れない。

舞台の「虚構」はとても無防備だ。
生身の肉体がそこにあり、役者が嘘をついているのを観客がナマで体験できるメディアである。
ストーリーや状況設定にある「嘘」に、生身の肉体や同時空間での存在という「実」を通 しての表現を目指す。
演技者と鑑賞者の間に時間的な隔たりも無い。はなから嘘だと判っている。

そこに私はいつも「妙なリアル」を感じる。
「嘘」がなきゃ存在しない「リアル」って胡散臭くて良い。
自然界から隔絶された人間の事を不憫に思った神が与えてくれた「壊れた自然」だと思う。

表面的なリアルを目指す演劇には興味は無い。
少し前に流行った静かな演劇も面白いとは思うが興味は無い。
芸人さんたちのコントも、時々見かける薄い笑いの場合は興味はない。

演劇の「虚実の皮膜」を役者とともに観客も綱渡りしようとする「エネルギーの無駄 遣い」が好きだ。

生身だからできる限り起こり得ない事を書く。
空間が劇場である事がバレてるからできる限り行けない場所に行く。
時間軸なんて一気に一億五千万年飛ぶ。そして、また戻る。やりたい放題が楽しい。
今では使い古されたこういう手法を、好んで書いていた頃、本当に楽しかった。
とてもすごい玩具を手に入れた気がして、夜が更けて朝が来て、大人になった自分にも気がつかずに遊んだ。

私の好きな「リアル」はそこに恥ずかしそうに見えかくれする。
きっと「リアル」は恥ずかしがり屋なのだ。健気だと思う。

「今の時代は「現実」が「虚構」を超えてしまっている時代。」 誰の言葉だったろう?
そんな時代は好きじゃ無い。
だから早く「妙なリアリティ」を内包した「真実の虚構」と出会いたい。
私は望んでいる。
劇団員も望んでいる。
ウィステリア氏もどういう訳だか、望んでくれている。

     
2003.09.10

■その他担当
ルイギン
Wed.

十五夜のロンリーウルフ

血が騒ぐ・・・今年もその夜が訪れる。
満月に照らし出された名古屋の片隅の住宅街を俺の遠吠えが貫く夜。 それは明日に迫った。

中秋の名月。旧暦8月15日の月。今年は満月の夜とピタリ一致する。
妖しげな符合。不可思議な調和。
2003年9月11日深夜・・・俺の体はあの怪物と化すのだ。

怪物の名前は「ヴァンパイア」

えっ?なんだって?・・・・・・あ、それそれ、インコーナーギリギリの球を見分ける
確かなその目は・・・・・・・・・・・違う!それはアンパイアだ!

えっ?・・・そうそう、甘いもの大好きっ子の人気の的。つぶあんもいいけどこしあんも・・・
・・・ち、違うっ!・・・それはアンパン屋さんだ!

えっ?・・・・・・・・・・・あ、そうそう、正義の味方で丸顔の・・・・・・
・・・ 違う!それは、アンパンマンだ!
やはり空しいものである。
「1人ノリ突っ込み」は危険行為・・・・と。


ヴァンパイア・・・吸血鬼。
俺はその仲間でもポピュラーなコウモリではない。
俺は、人狼。

えっ?・・・そうそう今年で三年目。来年こそは・・・・・・違う、それは、浪人!

人狼・・・ジンロウ。
実は・・・・・・・・俺は「狼男」だったのさ。

子供の頃俺は、伊吹山の麓で迷子になった。
山道をさまよい歩き、疲れ果てて眠ってしまったらしい。
気が着くと目の前に一匹の銀色の獣がじっと俺を見つめていた。
大きな満月の光の逆光の中。ヤツの目だけが赤く輝いていた。
・・・それは一匹の狼だった。

俺は、彼に助けられ、三年間オオカミの子供として育てられた。
その間に俺の体と心はすっかりオオカミ一族に馴染んだ。
やがて、成長した俺は彼ら一族との別れの日を迎え、人里に降りて来た。
日常生活の中、オオカミに育てられた俺の血は息をひそめている。
しかし、年に一度だけ・・・・
その記憶が俺のすべてを支配、自分自身がコントロールできない夜がやってくる。

それが、明日。十五夜の晩。
今夜、すでにその変身のきざしが、俺の体に見えかくれしている。

俺がこういう力を持っている事は劇団員ですら知らない。
もちろん、常人にはない超能力をいろいろ備えている。

まず、不死身である。
今まで風邪ひとつひいた事が無い。病院もめったにいかない。注射が恐いからだ。
命が未来永劫続くという特異体質だが、だからといって得意になってはいけない。
ほんの少し・・・不死身じゃ無い気もするし。

夜の闇の中でも、遠くまで見通す能力がある。
最近、目が霞むようになった。でも・・・夜にはよく見える。
特に劇団の打ち上げで闇ナベをする時はツオイ!
騙されて「わらじ」を食べたり、ナルトと間違って「蚊取り線香」を食べたりしな
いという特別な能力がある。この力には感謝している。
芝居をしていてこの能力だけは、持っていて本当に良かったと
打ち上げがあるたびに、つくづく思う。
演技の力より闇ナベに勝つ力が与えられた事に感謝している。
他にも、予知能力がある。
この力を使って、打ち上げで闇ナベをしない劇団に育てておけば良かったと後悔している。

誰よりも早く走れる。
ベン・ジョンソンとカール・ルイスと、カールおじさんは俺の弟子だ。

よく日記が長いと言われるので、早口で話す。でも、文字数は変わらない。

俺には、正体を見破られたかとドキッ!とする言葉がある。
「羊の皮をかぶったオオカミ」と言われた時である。
「育児のカバをかばったオカミ」はエライ、と同時に思ったりもする。

昔から1人でいる事を好み、社会に入れない。仕事もフリーのまま生きている。
一匹狼と言われるが、友達がいないだけであった。

怪物クンのオオカミ男は「ウォーでがんすのオオカミ男♪」と歌う。
「がんす」とは何か?・・・・何も思い付かないので次の話題にうつる。

「赤ずきん」の中に出てくるオオカミは俺の事である。
 彼女がおばあさんに変装した俺に聞いた。
「何故そんなに目が大きいの?」 「・・・・・高須クリニックに行ったのさ。」
「何故そんなに耳が大きいの?」 「・・・・・ヘソが大きい事より恥ずかしくないからさ。」
「何故そんなに口が大きいの?」 「・・・・・えっ?・・・・・・そうそう、これはね、
 次から次へとよく喋ってMCがどんどん長くなるように・・・違う!俺はrui★ginkoではない!」

赤ずきんちゃんは言った。「・・・1人ノリ突っ込み、止めてくれない?」
・・・グリム兄弟によって手際よく脚色された一番の見せ場。これが、真実の会話である。


そうさ、月夜に俺と出会うのはやめときな。
たとえ俺の背中に揺れる毛皮の、銀色の輝きに魅せられたとしても。
あおいちゃんはきっと「ウワオ〜」と叫びながら
ヴァンパイアに変身してやって来てくれるであろう明日の夜。
俺はひとりですごさねばならないだろう。彼女を守る為にも・・・。

時間が迫る・・・俺の中で血液が煮えたぎっている・・・
・・・ 変身の時が・・・訪れようとしてい・・・・・・ん?
そんな事をしてる暇があったら掲示板の書き込みに「返信」しろって?

ご、ごもっともでゴザイマス・・・・

2003.09.11

■音楽担当 
rui★ginko
Thu.

残暑に満月〜斉藤和義弾き語りLIVE

劇団員のでびさんが随分昔にCDを貸してくれた。
斉藤和義という歌うたいの名前を、僕はその時初めて知ったんだ。
僕は彼の音楽を聴いて何度かコンサートに足を運ぶようになり、
その姿勢がすごく好きになった。

今夜は彼の「弾き語りコンサートツアー〜残暑〜」初日。名古屋からスタート。
この春、彼はアルバム発売のキャンペーン中に倒れ緊急入院。
完治退院後、初めての全国ツアーということだから、
僕は狼男に変身しかけているが、もう行くに決まってる。

でびさんについては、過去の掲示板で解説したっけ。(掲示板34。36。37参照よろしく!)
彼女の正義感の強さに触れたい方は掲示板37の「でびを解剖する」を参照して欲しい。
つい最近では「ウィステリア事件」の折、証拠物件に一切触れないうちに謎を解明。
(8月7日、12日、13日分日記参照) その、類い稀なる推理力、あるいは原始本能的な
勘でもって事件の核心をつらぬいた・・・にもかかわらず
滅多にruiの日記も読まないし、掲示板に書き込みもできない失礼な恥ずかしがり屋として
堂々のマイペースだ。

その彼女が斉藤氏のファンクラブに入っている。
彼を見つめる瞳はいつも少女のごとく輝いてる。何かの間違いだと思うが。

名古屋市新栄のクラブ・ダイヤモンドホール。
僕はタクシーを飛ばしてホールのある雲竜FLEXビルの一階で彼女を待った。
でも、開演時間を過ぎたのに彼女は現れないんだ。僕は心配になった。
彼女は本当に斉藤和義のコンサートに来るのだろうか?
もしかして僕が聞き間違えたのかなあ・・・?
そう思ったとたんに不安が心をとりこにした。
きっと、そうだ。僕の聞き間違いだったんだ!
彼女は斉藤のファンクラブに入っていると確かに言っていたけど、
実は斉藤清六ファンクラブだったんだ! きっとそうだ!

そう気づいた時、僕の携帯が鳴った。彼女からだった。
「どこにいるの?」
「あ、でびさん!どうしたんですか?僕、雲竜FLEXビルの一階で待ってるんですよ」
「私もさっきから一階にいるよ」 僕は慌ててあたりを見回したが、彼女の姿は見えない。
「あの、お姿が見えないのですが・・・どこにおられるのですか?」
「もう!このビル、どこから入るの?今、一階のローソンのところにいるんだけど」

ローソン?・・・・それは隣のビルじゃあ・・・?

「あの、今、一秒で行きますから」
電話を切って三歩歩いたら、でびさんが途方にくれてうずくまっている姿が目についた。

こんなに近くまで来ていて迷子になっていたんだなあ・・・シミジミ。

「コンビニの前に座ってる人が沢山いたから、みんな並んでるのかと思って」
僕に近づいて来ながら彼女はこう言った。
普通、コンサート待ちの列はコンビニ前にできんだろう?
「そ、そうですか・・・それは間違えやすいですよね、あは、あはは・・」
「笑ってないで早く連れてってよ。どこ?」
「こ、こっちです・・・あ、でも、今日は違いますよ。」
「何が?」
「いや、でびさんの好きな人じゃないですよ。斉藤和義って人ですよ。あなたがファンの
清六さんじゃないんです。」 バシッ!と音がして一瞬目の前が暗くなったけれど・・・何?
「ふざけてないで、早く連れてって」
「は、はい」

ホールに入ったらすごい人でびっくりした。
その人垣をかき分けてステージ前列五列目まで進み、ぽつんと二つだけ空いている
椅子にすわった僕達。でびさんはすでに、少女の瞳になっていた。

斉藤和義氏のコンサートは優しい透明感と熱いドライブ感に包まれている。
彼の人柄の元に集まったファンの人たちはみんな素敵だ。
彼は、独特の歌声で切なく自然に、熱く歌い上げる。
曲の間に入るトークのシャイな感じがとても気持ちが良い。

昨年も同じこのホールで彼の弾き語りライブを聴いた。
(その時も、でびさんと来たのだけど、何故、今日迷うの?)
去年のコンサートで彼は、ギター一本で三時間も歌った。すごく刺激を受けた。
僕は今、歌う時、あの日の彼の姿をよく思い出す。
何度もアンコールに応え、会場内はどんどん熱くなり、
夜は明ける事を忘れたかのように永遠に続くと思われた。素敵な体験だった。

今夜もガンガンアガってゆく彼の歌を聴きながら 音楽と戯れていられる自分を幸せに感じた。

コンサート初日の名古屋のファンが出した二度のアンコールに応え
彼のますますパワーアップしたコンサートは終わった。

満足をした僕はエントランスで煙草を吸いながら、まるで斉藤氏にラブレターを書く
かの様にあれこれ悩んでアンケートに記入しているでびさんの横に立っていた。
すると、彼女の肩をたたく可愛い女性。
でびさんはコンサートの前に「もしかしたら友達が来ているかも知れない」と言っていた。
その友達とは、超有名全国情報誌の音楽担当をしているOさんという女の子だと。
それが、現れた彼女だったのさ。
でびさんは僕を彼女に紹介してくれた。
「うちの座長です。最近、迷惑な事に音楽もやってます」と。
僕は名刺代わりに自分のコンサートスケジュールのフライヤーをOさんに手渡した。
そしたら、それを見てOさんが言った。
「あ、このお名前。存じております。照和伝説で歌っておられますよね。
あのお店の池田さんともお電話でよくお話させて戴きますよ」そ、そうなんですか?
何と奇遇な・・・でびさんの友達がそんな形でつながっていたなんて。僕が嬉しくて
いつまでも Oさんと話しているとアンケートを書き終えたでびさんは言った。
「そうやって、人のつながりを利用して自分ばっかり売り込んで」
い、いや、そういうつもりでは・・・。

満月の帰り道、でびさんの御世話に今までの自分がどれだけなって来たか
そしてこれから、どれだけなってゆくのか、
じっくりと考えたら思わず感謝の言葉が口をついて出た。
「でびさん、ありがとう。・・・これからもコンサート連れて行って下さいね」
「うん。
私が迷子になりそうな時だけね」

・・・明日も、斉藤和義氏のイベントに道案内として同行させていただくruiであった。

2003.09.12

■音楽担当 
rui★ginko
Fri.

斉藤和義のオ〜ラに触れる

今夜は昨夜に引き続き、でびさんと斉藤和義氏のイベント。
ファンクラブの中でも抽選で選ばれた人しか行けないという、
非常にレアでコアでモアベターな企画。
場所は名古屋市東別院ホール。今日はでびさん迷子にならずに先に到着。
仕事でぎりぎりのruiはあたふたと駆け付けたんだけれど、おどろいたのは沢山の人々。
こ、これがファンクラブの中でも
、最もコアな集団か・・・。
いいなあ・・・こんなに沢山の人が来てくれるなんて。

でびさんは、またまた偶然にもお友達と遭遇。
しかも、お互いに相手が斉藤氏のファンクラブに入会していた事を知らなかったって。
世間、せまいもんだね。

彼のファンの人たちはみなさん大変にマナーが良い。
きっと、彼の人柄がそうさせるのだろうなア。

ファンの人達はアーティストの精神を背負っている。
ある意味ではそのアーティストそのものでもある訳だから
ファンの人の雰囲気って大切だよね。

僕が以前、地下鉄に乗っていたら栄の駅からたくさんのおばさん達が乗って来た。
その人たちが地下鉄に満杯になったと思ったら
座席に座っている人の間に、ほんの僅かな隙間を見つけては、
無理矢理お尻をねじ込んで 左右に揺らし広げ座る。
最初から乗っている人の背中に、思い体重をかけて押しつぶしそうにする。
大声で話しながらくだらない話をして笑い騒々しい。
それまで平和だった地下鉄の車両内は一気におばさんの集団に占領された。

すごく不愉快だった。
ふと見ると、みんな同じ紙袋を下げていて、そこにある役者さんの名前が入っていた。
ああ、この人たちはお芝居を見て来た帰りなんだな。
その役者さんは、ずいぶん昔に僕もお芝居を見せていただいて
実際に御本人にも御会いして御挨拶させて戴いた方だった。
とても物腰の柔らかな方で、礼儀正しい方であった。
僕は、何だかその方が可哀想になった。ファンのマナーは大切だ。

ともかく、イベントの時間が迫り、僕とでびさんはホールに入場した。
みんな、ホールの中でも身じろぎもしないで、開演時間を待っている。 完璧だ。
好きなアーティストに向けるエネルギーはこうでなくちゃ!

時間が来てイベントが始まった。
進行のMCさんが登場して、ステージに斉藤氏を呼ぶ。
彼が登場した。
・・・昨夜、あんなに熱いステージを見せた同一人物とはとても思えない程、
物静かな柔らかい雰囲気で。
ファンの集いであるからいろいろな趣向がこらしてあった。
彼のトークやグッズがあたる抽選会や、そしてラストは彼のステージ。
昨夜とはまた違った感じで歌う彼の姿を見ながら
音楽と自然に暮らしている彼のスタンスを感じた。

僕も明日、LIVEがある。
明日は、僕ももっと自然に歌おう。
肩の力を抜いて、歌うことにありのままの気持ちで向かおう。

昨日と今日、二日間、斉藤和義氏のステージに触れ、
昨年の三時間のコンサートの時のように、いろいろなモノをもらえた気がする。
僕は、それらのひとつひとつを大切に心に残し
自分の音楽と歩いて行こう。

斉藤和義のオーラは静かなる愛情と情熱に彩 られていた。

 

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